2022年九月 万古不易
はや9月になりました。
近年、コンクールの審査をする機会が増えています。
先日も「2022年日本音楽コンクール声楽部門」の第一次予選が8月31日・9月1日にトッパンホール行われ84人中21人が第二次予選に進みました。
本選は10月25日東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル。声は年齢とともに熟してゆくものですが、コンクールの対象年齢は35歳まで。本年度の課題曲は歌曲ですから、声量や技術のみならず作品への深い理解も問われます。
https://oncon.mainichi-classic.net/department/voice/
日本音楽コンクール
楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の第3幕で靴屋の親方ハンス・ザックスが、次代を託す騎士ヴァルターに美しい歌とマイスターの歌の違いについて問われ、こんな風に歌いかけます。
「若い青春の時代に春の美しい歌を歌うのは容易い。しかし人生の荒波を経て、様々な心配事うあや労苦に遭遇してもなお、美しい春の歌を歌い続けることが出来る者がマイスターなのだ。そのためには自己流だけで破綻するようではいけない。人生とは規則を学ぶながら常に新しく自分を保つところに意味がある」と。
藝術の道へ足を踏み入れた若い世代の皆さんも時にスランプに陥ったり、遠く及ばぬ高峰への道に途方に暮れる日もあるかもしれません。
それでも自ら選んだマイスターへの道を踏み分けて、それぞれの高みへと大きく羽ばたいていってほしいと願ってやみません。
私自身も声楽家として身を立てようと日々模索した時代を懐かしく思い出します。
ミラノ時代、1975年の(昭和50年)ジーリ国際声楽コンクールや 第16回ジロー・オペラ賞(1988年度)受賞の頃のことを思い出しました。
写真は《二期会創立50周年記念公演》
ベルギー王立歌劇場モネ劇場提携公演
Wagner -Die Meistersinger von Nürnberg
2022年7-8月 東京文化会館
ハンス・ザックス:多田羅迪夫
http://www.nikikai.net/lineup/past/meistersinger/index.html
そして…この度、予期せずして、四国にゆかりのある芸術家を顕彰する、公益財団法人よんでん文化振興財団より、2022年度「よんでん芸術文化賞」を頂戴いたしました。
推薦してくださった関係者の皆様に深く感謝するとともに、これからも時々の初心を忘れず、自身に与えられた時間の中で芸術文化振興のために出来ることに真摯に取り組んでゆきたいと存じます。
https://ycf.or.jp/ よんでん文化振興財団
#2022年度よんでん芸術文化賞