アーティストたちにエールを🎌
ドイツのオペラ演出家で、日本でも多くの舞台を手がけたミヒャエル・ハンペさんが2022年11月18日、スイスのチューリヒでお亡くなりになりました。
私は新国立劇場でのモーツァルト「魔笛」などでその人となりに触れることが出来たが、87歳で逝去というのは、早い気がする。
あんなにお元気でいらしたように見えてたのに。残念でならない。
声楽家として仕事を始めてから、はや半世紀。振り返ればさまざまな思い出がよみがえってくる。
最近の楽しみといえば、わが門下生たちの活躍。師匠と言っても、もう何もしてやれないので、見守るだけだけれど、なるべく演奏を聴きに行き客席からエールを送っている。
10月末の第161回 ムジカーザコンサート ビゼー 歌劇『カルメン』は、藪内俊弥が演出でも裁量を発揮しつつエスカミーリョを立派に歌っていたし、11月の日生劇場ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』は宮里直樹の演唱が本当に素晴らしかった。日本人テノールでは得難いレベル!
聴きに行って良かった。
東京二期会のオッフェンバック『天国と地獄』も2019年に観た時とはまた違った発見があった。今回も沢山の男声門下生たちやよく知る歌い手たちが、真摯に役と向き合う姿に、これからもがんばってくれよと胸が熱くなる。皆、粒ぞろいの逸材ばかりだ。
鵜山仁さんの演出も2019年よりバージョンアップし、二期会初登場の原田慶太楼さんと東フィルもオペレッタの楽しさを120%で伝えるべく、尽力していた。
神々の王ジュピターの登場では、モーツァルト「交響曲第41番(ジュピター)」の演奏があったり、オーケストラピットから、二幕でジュピターがハエに変装して出てくるシーンでは、ハエ叩きを使いながら指揮したり、虫取り網まで使って盛り上げてくれていた。
コロナとの共生時代、笑いと睡眠は免疫力を上げるのにとても大切なのではないかな。
現代はsnsの発信など、アーティスト自らも情報収集や発信がしやすい反面、なにを選択するかに迷うことも
増えているような時代だが、それぞれが自身の中の光を磨き続け、長く納得のゆく演奏活動を続けていってほしい。
よんでん文化振興財団理事会のため、高松へ向かう飛行機の中で、そんなことを考える…。
オペレッタ『天国と地獄』は、グルック『オルフェオとエウリディーチェ』のパロディでもあり、機会があればまたそちらもぜひ聴いてみていただきたいと思う。