多田羅迪夫紹介ブログ

多田羅迪夫紹介ブログ2022〜

2022年春 台湾滞在中のお話

2022年春3月末から4月にかけて台北に滞在していました。

近年、国立台湾師範大学 National Taiwan Normal Universityでもオペラ歌唱とドイツ歌曲マスタークラスの指導を続けています。

長らく続けていたteacupブログが終了してしまい、記事が消えてしまったので、コロナとの共生時代の稀有な経験について、こちらに改めて記載しておきます。

2022年3月末、新型コロナの影響で、リモートでのレッスンなどが続いていましたが、花の季節に隔離を承知で台湾へ出国しました。

検疫、入境審査を終えて今、臺北の隔離ホテルに滞在したのも貴重な体験でした。

1日3食がドアのところに置かれたテーブル上にデリバリーされました。

朝食はハンバーガーにぬるい豆乳。昼と夜は温かい弁当。

隔離ホテルで10日間、その後7日間は大勢のいるところを自粛して過ごしました。

感染対策を充分にして、外部の会場でリハーサルを行いました。ホテルには湯沸かし器や冷蔵庫はあるけれど、電子レンジが無いのが残念でした。

廊下には一切出てはならないし、廊下に置かれたtable上の弁当を取るときもマスクしてとる。

それでも、1日3回の食事は概ね美味しく、Wi-Fi環境が良好だから、メールやYouTube等では途中に入る広告が中国語であるくらいで、日本にいるのと殆ど変わらずリラックスして過ごせました。

冬来りなば春遠からじ

隔離ホテル10日間、その後ホテルを移動して7日間も自主管理期間なので、大勢のいるところは自粛しながら、大学構内ではなく市中の外部施設を臨時に確保して、外部の会場で学生たちとのリハーサル。

4月12日からは晴れて大学構内にも立ち入れることになり、日々のリハーサルに手ごたえを感じるも、予期しない出来事が起きました。

学内学生2名のコロナ陽性が確認されたため、モロに影響を受けたのは我々のオペラ・ハイライト公演で、会場の講堂が使えなくなってしまったのです。

そこで、急遽、台北巴赫廳(バッハ・ホール)を押さえて、上演できるように手配はしたのだけれど、会場の舞台の条件が変わり、舞台に登場する為の出入口が舞台正面の真ん中の一か所しかない。

演技を変えるため、新たなリハーサルを組むなど対策に追われました。

2022年4月15日(金)いよいよ本番。

台湾時間の19;30開演。台湾ではこのくらいの時間に始まるのが普通なんだそうだ。

老若男女問わず楽しめるモーツァルトのオペラには、まさに音楽の真髄がつまっている。

魔笛』『コシファントゥッテ』『フィガロの結婚』『イドメネオ』『皇帝ティトの慈悲』からも選んでハイライト・シーンを其々の学生が演奏し、殆どの学生たちがベストパフォーマンスをしたので、僕は大満足。

未来ある学生たちが真摯に優れた作品に取り組むことで、豊かな音楽人生を歩んでいってほしい。

開催にあたり尽力してくださった関係者の方々にも心よりお礼申し上げます

今、こうして健康で音楽に携わることができることに感謝。

復活祭の日に無事帰国したのでした。

memento mori 

戦後77年を迎えた日本。新型コロナの雪解けはもう暫く時間がかかりそうです。

ウィルスも紛争も人災の一種でしょう。

生き延びた今日を自覚し、閉じた論理に翻弄されることのないよう、しっかり状況を見極めて、前へ進んで行きたいですね。