多田羅迪夫紹介ブログ

多田羅迪夫紹介ブログ2022〜

オペラ歌手は太っている方が良いのか?

コロナで変わったことといえば、日常的にスポーツジムに通うようになったことがあげられるでしょうか。私は水泳が得意なのですが、プールや海に行かなくなった分、スクワットや筋トレに励み、中でも面白くなったのがボクササイズ。

男女問わず様々な年代の方々が気軽に始めることができるエクササイズです。

ドイツの歌劇場の専属歌手時代を経て、30歳前半で帰国した私は、お蔭様で現在も演奏を続けています。歌手は自分の身体自体が楽器ですから、身体全体が健康である事が一番大切です。特に心肺機能と、声帯の健康を維持する事が重要だと分かっていても、それがおいそれとはいかない事も身にしみて感じています

私は学生時代には痩せていて胸幅も薄かったのですが、ドイツ滞在中にプールに通って身体を鍛えた結果、胸囲が15㎝も増え、従来に比べて歌う事が随分楽になりました。つまりこの経験は、歌手にとって肺機能が優れた方が有利である可能性を示唆しています。

また、役作りで過度なダイエットをした際には、一時的に声までも痩せたと体感したことから、「太っている方が声帯も厚みを増して、結果的に充実した声が出しやすい」と感じる経験もしました。

しかし、世界的にもスレンダーな体型を保ちつつ、素晴らしいオペラ歌手である方たちが多い事も事実ですし、舞台姿が美しいに越したことはないのですから、声のためとはいえ、むやみに肥満を推奨してはならないのです。

 

近年、ヴィジュアル的にも声楽的にも身体能力的にも非常に優れた若いオペラ歌手が揃っていて、日本のオペラ界の人材が育ってきていることを実感します。

「オペラ」という芸術は、その発祥がイタリアであり、ヨーロッパを中心に発展していったとしても、今や世界共通の総合芸術として認知され、アジア各国にも国立歌劇場が次々と建設されるまでになりました。

オンライン国際会議などを通じて、各国のオペラハウスと共同制作や連携公演を日常的に行うことも容易くなりました。これからもユニヴァーサルなプロダクションが頻繁に上演され、多くの方々が「オペラ」に興味を持って、劇場にお越し下さることを願っています。